2012 年 26 巻 1 号 p. 64-69
要旨:目的:体外式超音波検査(US)によるパルスドプラ法を用いて,胆道癌の肝動脈浸潤の診断能について検討した.対象と方法:胆管癌及び胆嚢癌に対してパルスドプラ法を用いたUSを施行し,そのうち切除標本が得られ,組織学的診断が可能であった27例を対象とした.腫瘍前後の動脈波形を経時的且つ連続的に観察し,波形変化を認めたものを動脈浸潤陽性と仮定,組織学的動脈浸潤(pA)と比較し,感度,特異度,正診率,陽性反応的中率(PPV),陰性反応的中率(NPV)を算出した.結果,パルスドプラ法による動脈浸潤の診断能は感度,特異度,正診率,PPV,NPVが各々60.0%,63.6%,63.0%,27.3%,87.5%であった.結語:パルスドプラ法を用いたUSは,低侵襲かつ簡便で,NPVに関しては比較的優れており,胆道癌動脈非浸潤の判定に有用である可能性が示唆された.