要旨:胆道癌合併症例における胆管拡張形式の比較検討から,膵・胆管合流異常に対する適切な予防的手術術式,特に非拡張型合流異常における予防的肝外胆管切除の適応を考察した.胆道癌合併17症例を胆管拡張の有無で比較検討するとその臨床病理学的因子に有意差を認めなかった.また,胆道癌発生部位別に拡張形式を非拡張型に加えて嚢腫型と紡錘型に亜分類して検討すると胆管癌は嚢腫型のみならず非拡張型あるいは紡錘型といった胆管拡張の軽度な症例も半数以上に認めた.本検討からは胆道癌合併膵・胆管合流異常において胆管拡張形式からみた臨床病理学的特徴,特に胆管癌発症に差が認められず,胆管拡張の有無により予防的外科切除術式に差をつける根拠を見いだすことはできなかった.したがって胆道癌予防の観点からは拡張型と同様に非拡張型に対しても胆嚢摘出術のみならず肝外胆管切除が必要と考える.