抄録
要旨:膵頭十二指腸切除術はその標準術式として広く認知されているものの,いくつかの施設間異同が存在する.切除後の予後規定因子はリンパ節転移や組織型などの腫瘍因子とR1切除や術中出血量などの治療因子が報告されている.リンパ節郭清において問題となる上腸間膜動脈(SMA)周囲リンパ節(No14)の発生頻度は10%前後という報告が多く決して無視できない頻度である.それゆえ現時点では郭清範囲とすべきであろう.近年,SMA分枝の先行処理が提唱されている.膵頭部のうっ血が防止されるため術中出血量が有意に減少したと報告されており,今後3DCTの併用とともに広まってゆくとおもわれる.R1切除に関して,粘膜内癌であれば断端癌陽性は予後は断端陰性と同等とされているが粘膜内癌であっても5年以降に局所再発したという報告もみられるためその意義は定まっていない.これらは今後多施設共同研究によって明らかにされるべき問題である.