胆道
Online ISSN : 1883-6879
Print ISSN : 0914-0077
ISSN-L : 0914-0077
原著
胆道再建術後胆汁漏の検討:ICG胆汁漏テストの有用性
坂口 孝宣鈴木 昌八柴崎 泰福本 和彦稲葉 圭介
著者情報
ジャーナル フリー

2012 年 26 巻 4 号 p. 577-582

詳細
抄録

要旨:胆道再建部縫合不全による胆汁漏を完全に防ぐことは困難である.本研究は'05年以降当科で胆道再建を施行した81例を対象に,術後胆汁漏に影響する因子を検討した.特に,ICG胆管内注入下近赤外線カメラ観察による胆汁漏テストの有用性に注目し,胆汁漏テスト未施行(control:C)群42例,施行(ICG:I)群39例にわけた.I群11例に術中胆汁漏が術中発見され,縫合補強した.術後胆汁漏はC群5例,I群1例にみられた.術前減黄,郭清,血行再建の有無,吻合胆管状況などは胆汁漏発生に影響しなかったが,肝切除例は有意に術後胆汁漏発生率が高かった(有4/20 vs 無2/61).挙上空腸血流障害による胆汁漏を除外すると,術後胆汁漏発生はC群5/42,I群0/38となり,有意にI群で低頻度であった.以上より,胆道再建後胆汁漏には肝切除が関係すると考えられた.また,予期せぬ術後トラブルがない限り,ICG胆汁漏テストは術後胆汁漏防止に有用である.

著者関連情報
© 2012 日本胆道学会
前の記事 次の記事
feedback
Top