抄録
要旨:症例は53歳女性.胆嚢ポリープ,膵嚢胞性疾患にて当院通院中,胆嚢ポリープの手術目的に外科紹介となった.下痢症状はなく,海外渡航歴も認めなかった.腹部CTにて胆嚢体部に最大径9 mm大の腫瘤を認めた.膵体部に径20 mm大の低吸収域を認めた.ERCPでは,胆嚢内の腫瘤を認め,膵管は異常を認めなかった.胆汁・膵液細胞診検査でランブル鞭毛虫の栄養体を多数認めた.メトロニダゾールにて駆虫後,手術を施行した.病理診断ではcholesterol polyp,慢性胆嚢炎と診断され,ランブル鞭毛虫は認めなかった.無症状のランブル鞭毛虫症と診断した.大腸内視鏡被験者の0.5%にランブル鞭毛虫を確認したとの報告もあり,比較的多い疾患ではないかと思われた.本症自体が稀な疾患であるが,胆道疾患の原因として本疾患の慢性感染が見逃されている可能性も示唆された.今後,原因不明な胆道系疾患の術前に,生検や十二指腸液,胆汁,糞便検査を行ってもよいと思われた.