胆道
Online ISSN : 1883-6879
Print ISSN : 0914-0077
ISSN-L : 0914-0077
症例報告
無治療で1年4カ月の経過観察後に治癒切除し得たintraductal papillary neoplasm of bile duct(IPNB)の1例
大西 敏雄上田 順彦小坂 健夫中田 聡子湊 宏
著者情報
ジャーナル フリー

2014 年 28 巻 1 号 p. 81-88

詳細
抄録
無治療で1年4カ月の経過観察後に治癒切除し得た胆管内乳頭状腫瘍(IPNB)の1例を経験したので報告した.症例は70歳代,男性.盲腸癌の術後follow upの腹部CTで左肝管から外側区域の胆管拡張を認めた.11カ月後のMRIでは門脈臍部の左肝内胆管内に26×18 mm大で淡く濃染する腫瘍を認め,外側区域の胆管は著明に拡張していた.経口胆道内視鏡検査では同部位の胆管内に灰白色で限局性の乳頭状腫瘍を認めた.IPNBと診断し,拡大肝左葉切除術+尾状葉切除を施行した.切除標本では肝左葉の胆管内は無色透明な漿液で満たされ,左肝内胆管内に23×13×12 mm大の限局した乳頭状腫瘍を認めた.腫瘍は細胞質内に豊富な粘液を含み円柱状細胞の乳頭状増殖から構成されていたが,核異型は軽度であった.以上より胃型IPNB,境界病変と診断された.緩徐な経過をたどった自験例は本腫瘍の病態を示す貴重な症例と考えられた.
著者関連情報
© 2014 日本胆道学会
前の記事 次の記事
feedback
Top