抄録
ダブルバルーン内視鏡の開発によりRoux-en-Y法再建症例に対するERCPは様々な施設で行われるようになった.今回われわれは,受動湾曲型大腸内視鏡(PCF-PQ260L)を使用し,Roux-en-Y法再建後症例の胆道処置に成功した3例を経験したため報告する.症例1は69歳女性.全胃温存Roux-en-Y法再建の既往有り.悪性胆道狭窄に対しERCを施行した.PCF-PQ260Lにバルーン内視鏡用オーバーチューブを装着し胆管空腸吻合部へ到達後金属ステント留置術を施行した.症例2は66歳,男性.胃全摘後Roux-en-Y法再建の既往有り.急性胆管炎に対しERCを施行した.症例3は74歳,男性.胃全摘後Roux-en-Y法再建の既往有り.総胆管結石に対しEST+EPLBDを施行した.PCF-PQ260LはRoux-en-Y法再建症例の胆道処置時の新たな内視鏡の選択肢になりうる可能性がある.