抄録
急性胆管炎の日本語版診療ガイドライン2013(JPN2013)の重症度判定基準をJPN2005と対比検討し,さらに菌血症の予測スコアを考案した.60例を後ろ向きに解析した.JPN2013では重症11例,中等症23例および軽症26例であった.JPN2005では重症20例,中等症36例および軽症4例で中等症が過大評価される問題点があったが,JPN2013でJPN 2005の中等症36例が中等症18例と軽症18例に分別された.一方JPN2013では4例の菌血症陽性例が軽症と診断された.JPN2005の中等症評価項目の陽性項目数から,JPN 2005中等症スコア(JPNスコア;最大5点)を考案しROC解析を行うと,菌血症陽性の予測に対してAUCは0.89と良好であり,カットオフ値を2点とすると,感度および特異度は各々90%および74%であった.JPN2013はJPN2005の問題点が改善された有用な重症度判定基準であるが,菌血症の予測にJPNスコアが補助診断として有用と考えられた.