抄録
症例は56歳男性.上腹部不快感にて腹部単純CT施行するも異常を指摘されなかったが,3カ月後に造影CTを施行したところ90 mm大の肝腫瘤性病変が描出された.腫瘤は充実性成分が主体であり,内部に不整形な低吸収域と,周囲には淡い造影効果を認めた.また,壁肥厚を伴う胆嚢内腔との連続性が認められた.鑑別として,胆嚢癌+肝膿瘍,胆嚢癌+肝浸潤などが挙げられたが,胆嚢癌+肝浸潤と考え拡大前区域切除+S4部分切除+胆嚢摘出術を施行し,胆嚢adenosquamous carcinoma, Hinf3, Asc, intermediate, INFβ, ly1, v1, pn1の病理診断に至った.3カ月後に著明な肝浸潤をきたし特異な画像所見を呈した胆嚢腺扁平上皮癌の症例を経験した.腺扁平上皮癌は他の組織型の胆道癌と比して他臓器への浸潤傾向が強いと考えられており,早期の診断が重要である.腺扁平上皮癌の臨床病理学的特徴を考える上でも示唆に富む1例と考え報告する.