抄録
65歳,男性.糖尿病,高血圧症にて当院内科を定期通院していた.5年前から胆嚢体部および底部に壁肥厚を認め,胆嚢腺筋腫症として経過観察されていた.最近1年の経過で胆嚢体部および底部の壁肥厚が進行し,胆嚢癌の合併が疑われ当科紹介となった.画像検査上は黄色肉芽腫性胆嚢炎が疑われたものの胆嚢癌が否定できなかったためtotal biopsyとして胆嚢床切除を施行した.術中迅速組織検査を行い,悪性所見は認められず,病理組織学的に胆嚢腺筋腫症および黄色肉芽腫性胆嚢炎と診断された.黄色肉芽腫性胆嚢炎は胆嚢癌との鑑別が困難な良性疾患である.本例のごとく,胆嚢腺筋腫症において経時的に胆嚢壁の肥厚が進行する場合,胆嚢癌の合併が疑われるが,黄色肉芽腫性胆嚢炎の存在も念頭に置き術前検査を行い,術中迅速組織検査を併用し,過不足のない治療を行うことが必要であると考えられた.