胆道
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症例報告
絨毛癌への分化を示し急激な経過を辿った進行胆嚢癌の1例
花木 武彦坂本 照尚渡邉 淨司徳安 成郎奈賀 卓司池口 正英
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2014 年 28 巻 5 号 p. 815-820

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抄録
60歳女性.健診のUSで胆嚢腫瘍を指摘され当科紹介となった.紹介当日に突然の腹痛,意識消失と血圧低下,貧血の進行を認めた.緊急造影CTで腫瘍破裂による腹腔内出血と診断し,経皮的動脈塞栓術にて止血した.その後のCTで腫瘍の急速な増大傾向があり,切迫破裂と考えたため切除に踏み切った.切除術後3週目に遷延する発熱精査のため,CTを施行したところ,残肝をほぼ占拠する肝内再発を認めた.腫瘍出血に伴う播種性血管内凝固もあり,脳出血のため永眠した.切除検体の病理組織学的所見で,胆嚢内病変は腺癌主体の組織像を示していたが,肝浸潤部では絨毛癌の形態を呈しており,腺癌より絨毛癌へと分化した進行胆嚢癌と最終診断した.胆嚢癌に絨毛癌成分が発生することは非常に稀であり,その予後も極めて悪い.胆嚢絨毛癌の報告は過去に5例しかなく,診断・治療方針についても確立されていないことから,ここに若干の文献的考察を加え報告する.
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© 2014 日本胆道学会
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