2015 年 29 巻 2 号 p. 300-309
十二指腸乳頭部腫瘍(乳頭部腫瘍)は,上部消化管内視鏡検査の普及により無症状で発見される機会が増加している.十二指腸鏡による内視診断が重要であるが,診断確定のためには生検による病理学的検索が必須である.非露出腫瘤型の腫瘍などが疑われ,通常の生検で診断困難な場合には,内視鏡的乳頭括約筋切開術後の生検もしくはEUS下穿刺吸引細胞診が有用である.乳頭部腫瘍の治療法は,膵頭十二指腸切除術を基本とするが,近年適応症例に対し縮小手術の有用性に関する報告がみられている.その適応決定においては正確な進展度診断が必須で,EUSと管腔内超音波検査は,乳頭部腫瘍の存在診断能,進展度診断能ともに高い.しかし現行の機種を用いてもm癌とod癌の鑑別は不可能である.