胆管周囲嚢胞は稀な疾患であるが画像診断の発達に伴い遭遇する機会は増加している.今回,我々は術前診断に難渋した胆管周囲嚢胞の1例を経験したので報告する.症例は71歳男性.半年前にS状結腸癌イレウスにてS状結腸切除術を施行し経過観察中であった.フォローの腹部造影CTにて肝左葉の肝内胆管の拡張と嚢胞を認めた.ERCでは左肝管起始部の狭窄とB2, B3に数珠状の胆管拡張を認め,同時にIDUSを施行したが胆管壁の肥厚や腫瘍は認めなかった.体外式の造影超音波検査にてB2, B3合流部のB3胆管内に造影される結節を認めた.画像上は胆管周囲嚢胞による肝内胆管の拡張を疑ったが肝内胆管癌の否定ができないため手術を施行した.切除標本では胆管周囲に嚢胞を認めるのみであった.組織学的には胆管周囲に嚢胞と胆管付属腺の増生を認め,胆管周囲嚢胞と診断した.
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