胆道
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29 巻, 2 号
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第50回日本胆道学会学術集会記録
日本胆道学会認定指導医養成講座
  • 廣岡 芳樹, 川嶋 啓揮, 大野 栄三郎, 杉本 啓之, 林 大樹朗, 後藤 秀実
    2015 年 29 巻 2 号 p. 189-197
    発行日: 2015/05/31
    公開日: 2015/06/19
    ジャーナル フリー
    胆道癌診断におけるUS・EUSの果たす役割は大きなものがある.中でも,EUSは胆道癌診療ガイドライン(改訂第2版)の中では,診断におけるサードステップと位置づけられている.一方,胆道癌取扱い規約第6版は,TNM分類第7版との整合性を図り,進行度分類をUICC分類と一致するように大きく変更された.本稿では,胆道癌診療におけるUS・EUSの役割を胆道癌取扱い規約第6版の中でどのように取り扱っていけば良いかについて実際の症例で示した.
  • 大原 弘隆, 中沢 貴宏, 林 香月, 内藤 格, 宮部 勝之, 城 卓志
    2015 年 29 巻 2 号 p. 198-205
    発行日: 2015/05/31
    公開日: 2015/06/19
    ジャーナル フリー
    近年の画像診断の進歩にも関わらず,硬化性胆管炎の診断には,しばしば難渋することがある.特に,IgG4-SCはステロイド治療が奏効する比較的予後良好な疾患とされているが,その胆管像からPSCや胆管癌などの予後不良な疾患として扱われてきた症例も少なくない.そのため2012年に厚生労働省研究班と日本胆道学会との合同でIgG4関連硬化性胆管炎臨床診断基準2012が作成された.硬化性胆管炎の診断には臨床経過,血液生化学的所見,各種画像所見,合併疾患,病理組織学的所見など多方面からの検討が必要である.治療においては,IgG4-SCでは再燃を繰り返す症例やステロイド治療抵抗性の症例が問題となっており,PSCの根治的な治療法は肝移植のみである.今後,基礎的・臨床的研究により両疾患の病態解明がさらに進展し,その診断と治療が進歩することが期待される.
原著
  • 海保 隆, 新村 兼康, 西村 真樹, 藤本 竜也
    2015 年 29 巻 2 号 p. 206-213
    発行日: 2015/05/31
    公開日: 2015/06/19
    ジャーナル フリー
    胆道疾患における肝切除は,肝門部胆管癌,胆嚢癌等に代表されるように,腫瘍容積に比し肝切除量が大きいため,術後高ビリルビン血症をはじめとする肝不全兆候を来たし易い.今回胆道疾患肝切除における周術期の大建中湯と茵ちん蒿湯の効果を,残肝血流の面より検討した.周術期に漢方製剤を使用しなかったA群16例,大建中湯を使用したB群9例,大建中湯と茵ちん蒿湯の2剤を併用したC群17例の3群に分け検討した.術前KICGはC群がA群に比し有意に低値であったが,その他年齢,性別,術前肝機能,肝実質切除率,手術時間,出血量で各群に差はなかった.予測残肝KICGと術後1週目の実測のKICGとの比はA群121.3±36.1,B群119.6±23.7,C群161.7±76.1とC群において有意に高値を示し,周術期の漢方製剤の併用により術後残肝血流の改善が認められた.
  • 石垣 尚志, 佐々木 民人, 芹川 正浩, 南 智之, 岡崎 彰仁, 行武 正伸, 石井 康隆, 毛利 輝生, 吉見 聡, 清水 晃典, 壷 ...
    2015 年 29 巻 2 号 p. 214-218
    発行日: 2015/05/31
    公開日: 2015/06/19
    ジャーナル フリー
    4 Fr ENBDの臨床成績を明らかにすることを目的とし検討を行った.閉塞性黄疸に対し乳頭処置を行わずに4 Frまたは6 FrのENBDカテーテルを留置した46例を対象とし,4 Fr群と6 Fr群に分け,ドレナージ効果,高膵型アミラーゼ血症と膵炎の頻度,visual analog scale(VAS)による鼻・喉の不快感(0:不快なし,10:著しく不快)を比較した.胆汁排液量と,血清総ビリルビン値の低下量および半減に要する期間には,両群間に有意差・傾向を認めなかった.高膵型アミラーゼ血症は4 Fr群で13.0%,6 Fr群で34.8%に認めた.膵炎は4 Fr群で0%,6 Fr群で4.3%に認めた.VASは当日で4 Fr:2.5,6 Fr:4.4(P=0.030),翌日で4 Fr:2.1,6 Fr:3.7(P=0.056)であった.4 Fr ENBDはドレナージ効果が6 Frと同等である可能性があり,さらに膵臓への負荷や鼻・喉の不快感は6 Frよりも少ない可能性が示唆された.
  • 沼田 義弘, 大屋 敏秀, 田妻 進, 山崎 美保, 菅野 啓司, 岸川 暢介, 山本 隆一
    2015 年 29 巻 2 号 p. 219-225
    発行日: 2015/05/31
    公開日: 2015/06/19
    ジャーナル フリー
    古くより胆石の危険因子として5F(Forty,Female,Fatty,Fair,Fertile)が知られており,特にFattyの基礎的原因として糖尿病や脂質代謝異常が関与することが報告されている.肥満,糖尿病,脂質代謝異常の急激な増加が指摘されている我が国において,胆石保有者の特徴,胆石形成の背景や危険因子の変化について評価検討されるべきと考えられる.我々は205例の胆石症例を土屋分類に従ってI型,II型,III型の3つの群に分類し,年齢,性別,BMI,血清脂質,血糖,HbA1c,インスリンについて解析した.コレステロール石保有者(土屋I型)の特徴として,1)肥満,2)インスリン抵抗性がみとめられ,多変量解析からは肥満と年齢が有意な危険因子とみなされた.今回の検討結果から,生活習慣にも深く関係する肥満や耐糖能異常の増加は,コレステロール石の頻度を増加させる可能性を示唆するものと考えられる.
総説
  • 岡庭 信司
    2015 年 29 巻 2 号 p. 226-237
    発行日: 2015/05/31
    公開日: 2015/06/19
    ジャーナル フリー
    体外式超音波検査(以下US)は簡易で低侵襲な検査であるため人間ドックや集団検診といったスクリーニングにも広く用いられている.胆嚢ポリープや壁肥厚はよく遭遇するUS所見であり,胆嚢癌はUS検診の成果が期待できる癌とされている.胆嚢の腫瘍性病変の超音波像は隆起あるいは腫瘤像(有茎性,広基性)と壁肥厚に分類する.この分類は鑑別診断のみならず深達度診断にも有用であり,有茎性の癌は早期癌(腺腫内癌)と診断可能である.胆嚢癌との鑑別診断には,大きさ,内部エコー,表面構造,層構造,ドプラ所見などを評価することが有用である.さらに,胆嚢腫大,肝外胆管拡張,デブリ,胆嚢壁の性状といった間接所見も胆道癌の拾い上げに有用である.深達度診断においては,胆嚢壁の低エコー層にMPとSS浅層が含まれるため層構造の評価のみでは診断が困難であり,病変の形状,大きさ,内部エコーおよび造影エコーによる染影所見などを併用する必要がある.
  • 粕谷 和彦, 中島 哲史, 瀧下 智恵, 佐原 八束, 細川 勇一, 永川 裕一
    2015 年 29 巻 2 号 p. 238-246
    発行日: 2015/05/31
    公開日: 2015/06/19
    ジャーナル フリー
    光線力学的治療(photodynamic therapy:以下PDT)とは,腫瘍親和性光感受性物質とレーザによる光線力学反応を利用して腫瘍を治療する方法である.胆管癌に対するPDTは癌による狭窄の解除や予後改善に一定の効果を示し,手術関連では切除断端癌陽性例へのadjuvant-PDTやneo-adjuvant-PDT,抗癌剤との併用が行われている.一方,光感受性物質は肝細胞に取り込まれ胆汁中に排出される.胆管癌の周囲には肝細胞や胆汁が多量に存在するため,レーザ照射にも一定の工夫が必要である.さらに胆道癌に対するPDTは保険承認されておらず,臨床,基礎研究ともに限られた施設で行われているのが現状である.しかし光感受性物質も光線過敏症の強いPhotofrinから,代謝速度が速くかつ長い波長のレーザに対応した次世代のLaserphyrin,Foscanが開発された.またPDT用の内視鏡も細径化,多機能化している.本稿では海外を含めこれまでの胆道PDTの歩みと現況を述べる.
症例報告
  • 須藤 翔, 相馬 大輝, 廣瀬 雄己, 堅田 朋大, 齋藤 敬太, 三浦 宏平, 滝沢 一泰, 永橋 昌幸, 坂田 純, 小林 隆, 皆川 ...
    2015 年 29 巻 2 号 p. 247-253
    発行日: 2015/05/31
    公開日: 2015/06/19
    ジャーナル フリー
    症例は79歳,男性.尿濃染を自覚し,血液検査にて黄疸と肝機能障害を指摘された.画像検査所見から下部胆管癌による閉塞性黄疸と診断され, PTBDが施行された.黄疸改善後,膵頭十二指腸切除,PTBD瘻孔部同時切除が施行された.病理組織学的検査では,PTBD瘻孔部に胆管癌着床を認め,術後補助化学療法としてS-1単独療法を施行された.術後18カ月目に,瘻孔切除部近傍の腹壁に腫瘤を認め,穿刺細胞診にてClass Vと判定された.胆管癌の腹壁再発と診断され,Gemcitabine(GEM)+S-1療法を施行された.術後24カ月目に肝再発を指摘され,その後再発巣が増大傾向を示したため,肝動脈化学塞栓療法および腹壁再発巣に対する放射線療法を施行された.術後32カ月経過し,現在,全身状態良好で外来経過観察中である.PTBD瘻孔部に癌着床を認めた場合,異時性の腹膜播種性再発に関して慎重な経過観察を行う必要がある.
  • 岡田 健司郎, 首藤 毅, 中井 志郎, 小林 弘典, 江口 紀章, 山本 隆一, 嶋本 文雄
    2015 年 29 巻 2 号 p. 254-260
    発行日: 2015/05/31
    公開日: 2015/06/19
    ジャーナル フリー
    症例は71歳,女性.右季肋部痛を時々自覚していたため,近医にて腹部超音波検査施行したところ,胆嚢腫瘤と肝腫瘤を指摘され当科紹介となった.腹部超音波・CT・MRI検査にて胆嚢癌,限局性肝転移と診断し,肝中央2区域(S4+5+8)切除,肝外胆管切除,リンパ節郭清を施行した.病理組織学的検査にて小型で異型度の強い細胞が胆嚢,肝に広範囲に索状,胞巣状,ロゼット形成して増生し,免疫染色にてSynaptophysinが陽性,Ki-67指数は95%であり,神経内分泌癌Small cell NECと診断した.No. 12b, No. 13aリンパ節に転移を認めた.術後3カ月後の腹部CT検査にて多発肝転移出現し,4カ月後に原病死した.胆嚢原発の神経内分泌癌は予後不良であり,治療としては外科切除に加えて,術前術後の補助化学療法を含めた集学的治療が必須であると考える.
  • 前田 孝, 夏目 誠治, 加藤 岳人, 平松 和洋, 青葉 太郎, 松原 浩
    2015 年 29 巻 2 号 p. 261-265
    発行日: 2015/05/31
    公開日: 2015/06/19
    ジャーナル フリー
    胆嚢内に広範な粘膜内癌を伴った早期胆嚢管癌の1例を経験したので報告する.症例は78歳の女性.主訴は心窩部痛.腹部造影CTにおいて,造影効果を伴う胆嚢管腫瘍と胆嚢内にも丈の低い隆起性病変を認めた.ERCでは胆嚢管に蟹爪様の陰影欠損像を認めたが,総胆管に異常所見を認めなかった.胆管腔内超音波検査(IDUS)では胆嚢管内に低エコーの腫瘍を認め,総胆管内に突出していた.以上より乳頭型の胆嚢管癌と診断し,胆嚢床切除,肝外胆管切除,リンパ節郭清術を施行した.切除標本では胆嚢管に3.5×2.5 cmの隆起性腫瘍を認めた.胆嚢管腫瘍の病理所見は乳頭腺癌で,深達度はmであった.また,胆嚢粘膜にも広範に乳頭腺癌が広がっていた.胆嚢内の病変は連続性を欠いており,多中心性の発癌形態が示唆された.術後2年現在,無再発である.
  • 青葉 太郎, 加藤 岳人, 平松 和洋
    2015 年 29 巻 2 号 p. 266-270
    発行日: 2015/05/31
    公開日: 2015/06/19
    ジャーナル フリー
    胆管周囲嚢胞は稀な疾患であるが画像診断の発達に伴い遭遇する機会は増加している.今回,我々は術前診断に難渋した胆管周囲嚢胞の1例を経験したので報告する.症例は71歳男性.半年前にS状結腸癌イレウスにてS状結腸切除術を施行し経過観察中であった.フォローの腹部造影CTにて肝左葉の肝内胆管の拡張と嚢胞を認めた.ERCでは左肝管起始部の狭窄とB2, B3に数珠状の胆管拡張を認め,同時にIDUSを施行したが胆管壁の肥厚や腫瘍は認めなかった.体外式の造影超音波検査にてB2, B3合流部のB3胆管内に造影される結節を認めた.画像上は胆管周囲嚢胞による肝内胆管の拡張を疑ったが肝内胆管癌の否定ができないため手術を施行した.切除標本では胆管周囲に嚢胞を認めるのみであった.組織学的には胆管周囲に嚢胞と胆管付属腺の増生を認め,胆管周囲嚢胞と診断した.
  • 大木 克久, 杉浦 禎一, 金本 秀行, 岡村 行泰, 伊藤 貴明, 栗原 唯生, 蘆田 良, 佐々木 恵子, 中沼 安二, 上坂 克彦
    2015 年 29 巻 2 号 p. 271-278
    発行日: 2015/05/31
    公開日: 2015/06/19
    ジャーナル フリー
    症例は68歳の男性.2011年8月に胆管内発育型肝内胆管癌の診断で肝右葉・尾状葉切除,肝外胆管切除術を施行した.病理組織所見は粘液産生を伴う高分化型腺癌で,胆管内乳頭状腫瘍(intraductal papillary neoplasm of the bile duct:IPNB)由来の浸潤癌と診断された.胆管断端は陰性であった.術後1年4カ月後の腹部CTで遺残下部胆管の拡張と胆管内の腫瘍を認め,下部胆管癌もしくは乳頭部癌の診断で膵頭十二指腸切除術を施行した.病理組織所見では,腫瘍は初回手術時と同様の組織像を呈する浸潤性乳頭腺癌であった.IPNBは外科切除により良好な予後が期待できるとされるが,本症例のように治癒切除後も遺残胆管に再発する可能性があるため,注意深い経過観察が必要である.
  • 安次富 裕哉, 木村 理, 平井 一郎, 渡邊 利広, 手塚 康二, 菅原 秀一郎, 岡崎 慎史
    2015 年 29 巻 2 号 p. 279-284
    発行日: 2015/05/31
    公開日: 2015/06/19
    ジャーナル フリー
    80歳女性.他疾患の経過観察CTで総胆管の拡張を指摘された.上部消化管内視鏡検査で十二指腸乳頭部に径約3 cmの腫瘍を認め,生検で腺癌と診断された.高齢なことやEUSやIDUSから腺腫内癌が示唆されたことから経十二指腸的乳頭切除術を施行した.病理組織学的にはadenocarcinoma(tub1~tub2)in tubulovillous adenomaで早期乳頭部癌であったが,一部Oddi筋への浸潤が認められた.断端は十分に確保されており,pEM0の切除であった.退院後外来で経過観察していたが,術後3年目に膵頭部背側,大動脈周囲,上縦隔に多発リンパ節転移をきたし,術後4年目に死亡した.十二指腸乳頭部の早期癌に対しては縮小手術も考慮されるが,今回の症例では術後病理検査でOddi筋浸潤を認めており,早期癌と考えられた症例でも縮小手術の適応は慎重に判断する必要があると考えられた.
  • 大宜見 美香, 和泉 秀樹, 矢澤 直樹, 古川 大輔, 増岡 義人, 平林 健一, 小川 真実, 川口 義明, 峯 徹哉, 中郡 聡夫
    2015 年 29 巻 2 号 p. 285-291
    発行日: 2015/05/31
    公開日: 2015/06/19
    ジャーナル フリー
    症例は62歳の女性で,黄疸を主訴に前医を受診し肝胆道系酵素値の上昇と肝腫瘍を指摘され当院受診となった.腹部超音波において肝S4/5に,末梢胆管の拡張を伴う約70 mm大の腫瘍性病変を認め,腹部CTで同腫瘍は乏血性で不均一に造影された.また,遠位胆管に壁肥厚を認めた.ERCでは左右肝管合流部の狭窄と,右側の肝内胆管の不整な狭窄と拡張を認め,擦過細胞診はclass Vであった.さらに遠位胆管に陰影欠損を認め,同部の生検の結果は腺癌であった.以上より肝内胆管癌と遠位胆管癌の重複癌と診断し,右3区域切除+亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した.病理組織学的には,肝内胆管癌は中分化型管状腺癌,遠位胆管癌は乳頭腺癌であった.肝内胆管癌と肝外胆管癌の同時性発症した例として本症例は本邦2例目であり,極めて稀な症例と考え報告する.
  • 坂谷 彰彦, 北山 聡明, 有馬 良一
    2015 年 29 巻 2 号 p. 292-299
    発行日: 2015/05/31
    公開日: 2015/06/19
    ジャーナル フリー
    症例は80歳代女性.黄疸を主訴に当院を紹介受診した.腹部CTで中部胆管の狭窄と膵頭部に嚢胞性病変を認めた.ERCPで嚢胞は主膵管との交通を示し,膵液細胞診の結果はclass II,胆汁細胞診の結果はclass III(adenocarcinomaの疑い)であった.以上より胆管癌と膵管内乳頭粘液性腫瘍と診断し手術を施行した.開腹したところ胆嚢は底部を中心に漿膜まで白色調変化と壁硬化を呈していたため術中迅速診断に提出したところadenocarcinomaと診断された.膵頭十二指腸切除術と拡大胆嚢底摘出術を施行し,最終的に切除標本の病理学的検査で確定診断を得た.今回われわれは膵管内乳頭粘液性腫瘍に胆管癌と胆嚢癌の同時性胆道系重複癌を合併した極めて稀な症例を経験したので報告する.
胆道専門医講座⑨十二指腸乳頭部腫瘍
第2回 十二指腸乳頭部腫瘍の内視鏡診断
  • 伊藤 啓, 越田 真介, 菅野 良秀, 小川 貴央, 枡 かおり, 野田 裕
    2015 年 29 巻 2 号 p. 300-309
    発行日: 2015/05/31
    公開日: 2015/06/19
    ジャーナル フリー
    十二指腸乳頭部腫瘍(乳頭部腫瘍)は,上部消化管内視鏡検査の普及により無症状で発見される機会が増加している.十二指腸鏡による内視診断が重要であるが,診断確定のためには生検による病理学的検索が必須である.非露出腫瘤型の腫瘍などが疑われ,通常の生検で診断困難な場合には,内視鏡的乳頭括約筋切開術後の生検もしくはEUS下穿刺吸引細胞診が有用である.乳頭部腫瘍の治療法は,膵頭十二指腸切除術を基本とするが,近年適応症例に対し縮小手術の有用性に関する報告がみられている.その適応決定においては正確な進展度診断が必須で,EUSと管腔内超音波検査は,乳頭部腫瘍の存在診断能,進展度診断能ともに高い.しかし現行の機種を用いてもm癌とod癌の鑑別は不可能である.
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