胆道
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症例報告
神経線維腫症I型(neurofibromatosis 1:NF1)に合併した胆管内乳頭状腫瘍(Intraductal papillary neoplasm of the bile duct:IPNB)の1例
川畑 康成石川 典由長見 晴彦森山 一郎田島 義証
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2015 年 29 巻 4 号 p. 782-789

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抄録

症例は神経線維腫症I型(NF1)を罹患した58歳の男性.肝機能異常を契機に腹部超音波検査で肝外側区域に嚢胞性病変を指摘された.腹部造影CTでは肝内胆管(B3)は嚢胞状に拡張し,内部に造影効果のある腫瘤性病変を認めた.ERCPでは拡張したB3胆管とその内部に乳頭状に増生する腫瘍を認めた.B3内部の腫瘍からの生検で胆管内乳頭状腫瘍(IPNB)と診断し,腹腔鏡補助下肝左葉切除を施行した.病理組織所見では,B3肝内胆管は嚢胞状に拡張し,内部には粘液に富んだ高分化乳頭腺癌が乳頭状に増殖していたが,基底膜を超える浸潤は認めなかった.IPNBの亜型分類は胆・膵型であり,腫瘍内部にneurofibrominの発現は認められなかった.NF1は消化管系の悪性腫瘍を合併する場合があるが,IPNBを合併した例はまれで,本邦で1例目として報告する.

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© 2015 日本胆道学会
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