胆道
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症例報告
自己免疫性膵炎を伴わないIgG4関連硬化性胆管炎の1例
武田 裕中平 伸桂 宜輝松下 克則中村 剛之糸瀬 一陽萩原 秀紀後藤 孝吉中塚 伸一
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キーワード: IgG4関連硬化性胆管炎
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2015 年 29 巻 4 号 p. 775-781

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抄録

症例は82歳男性.胃癌術後に肝機能障害から下部胆管狭窄を指摘され紹介された.MRIでは下部胆管に狭窄を認め,自己免疫性膵炎(AIP)を示す膵腫大を認めなかった.ERCPでは下部胆管に狭窄を認め,主膵管の不整狭細像を認めなかった.IgG 1168mg/dl,IgG4 22.5mg/dlであった.EUS下に肥厚した胆管壁をFNAしたが軽度の炎症細胞浸潤を伴う線維性結合組織であった.悪性を否定出来ず膵頭十二指腸切除を施行した.総胆管周囲の結合組織から膵組織にかけてリンパ球,形質細胞浸潤と線維増生を認め,強拡1視野あたり10個を超えるIgG4陽性形質細胞浸潤と花筵状線維化,閉塞性静脈炎を認め,IgG4関連硬化性胆管炎(IgG4-SC)と診断した.AIPを伴わない高IgG4血症を認めない,胆管像Type1のIgG4-SCの一例を経験した.術前確定診断は容易ではないが,IgG4関連硬化性胆管炎の存在を考慮して診断,治療に当たる必要があると考えられた.

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© 2015 日本胆道学会
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