2015 年 29 巻 4 号 p. 838-846
乳頭部腫瘍における内視鏡的乳頭切除術(Endoscopic papillectomy;EP)は,早期偶発症として出血,膵炎,穿孔,胆管炎,後期偶発症として膵管・胆管口狭窄など時に重篤な偶発症が存在するものの,完全生検としての診断的治療であること,外科的な膵頭十二指腸切除術に比べ低侵襲であること,そして再発に対する追加治療も可能であるという利点がある.実際に当科でも腺腫や切除後に腺腫内癌であった症例を含め,安全かつ有用性が認められ,良好な治療成績が得られている.本稿では乳頭部腫瘍に対する内視鏡的乳頭切除術について,歴史,適応,手技,偶発症,現状の問題,自験例の治療成績を含めて概説する.