症例1,2は胆嚢結石に対して胆嚢摘出術,症例3,4は膵頭部癌に対して膵頭十二指腸切除術を施行した.全症例でGoor分類F2型の副交通胆管を合併しており,術前診断は3例,術中診断が1例であった.胆嚢摘出術の2例では胆汁排泄を考慮して副交通胆管を温存したが,膵頭十二指腸切除術の2例では郭清を優先し,結紮切離した.全例で胆汁漏,胆汁鬱滞などの合併症は認めなかった.自験例を加えた副交通胆管併存肝胆膵外科手術26例の報告を検討すると術前診断は17例(65.4%)と必ずしも高くはなく,また,胆嚢摘出術症例では切離せずに温存されている症例の割合が高かった.副交通胆管枝はその誤った術中処理により術後胆汁漏・胆汁鬱滞が発生する危険性があり,術前に確実な診断を行う必要がある.副交通胆管枝の温存の適否については確定されていないが,いずれにしても予期せぬ損傷を回避する慎重な手術操作が重要である.