2016 年 30 巻 4 号 p. 749-755
症例は52歳女性.42歳時にIV-A型の先天性胆道拡張症に合併した遠位胆管癌の診断で,肝外胆管切除,胆道再建が施行された(pT3N0M0,Stage III).術後3年目より,肝内胆管の拡張と繰り返す胆管炎が出現.術後5年目には,吻合部近傍の胆管壁肥厚と肝内結石も指摘されたが,治療の希望なく経過観察となっていた.術後10年目のCT検査にて肥厚した胆管壁の不整を指摘され,生検にて左優位の肝門部領域胆管癌と診断された.腫瘍は前後分岐部まで進展していたが,肝左3区域切除術を施行することで治癒切除を得ることが可能であった.今後分流手術の増加に伴い,長期合併症の一つである発癌症例も増えていくことが予想される.遺残胆管癌は切除に至らない症例も多く,本疾患を念頭においたフォローが重要となる.リスク症例に対する適切な対応並びに,手術のタイミングを逃さぬような治療戦略が必要と考えられた.