2016 年 30 巻 5 号 p. 842-849
2013年に改定された胆道癌取り扱い規約第6版では従来2重の定義が存在した肝門部胆管癌を明確化し肝門部領域胆管癌という名称に変わった.これにより,大型胆管由来の肝外型肝門部胆管癌に加え,肝内胆管癌が大型胆管に浸潤したものを同じ病期分類で扱うことになった.後者は左側優位病変が多いことと,肝門部での血管浸潤が高度であることが特徴である.このため,外科治療としては肝左三区域切除や血管合併切除の頻度が高くなることが予想される.これらの術式に対する施設の適応の差異が肝門部領域胆管癌の切除率の差につながる可能性がある.一方,全国調査により本邦の肝左三区域切除術や胆管切除を伴う肝切除,すなわち肝門部領域胆管癌で頻用される肝切除術,の術後死亡率が想像以上に高い(>5%)ことが判明し,胆道癌肝切除の高リスクが改めて浮き彫りになった.