胆道
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症例報告
繰り返す胆管炎を来したhepatic peribiliary cystsの1切除例
山本 健治郎土屋 貴愛辻 修二郎田中 麗奈殿塚 亮祐本定 三季向井 俊太郎藤田 充山口 浩永川 裕一土田 明彦糸井 隆夫
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2017 年 31 巻 2 号 p. 237-245

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抄録

症例は60代男性.繰り返す胆管炎と左肝内胆管拡張のため紹介となった.腹部CTおよびMRCPでは左肝内胆管の拡張,左葉優位の多発する小嚢胞および左葉の萎縮を認めた.直接胆道造影では左胆管起始部の狭窄と,それより末梢胆管の不整拡張を認めた.経口胆道鏡では,左胆管起始部は圧排様狭窄を認めたが腫瘍血管等は認めず,胆汁細胞診および狭窄部の生検からも悪性所見は認めなかった.DIC-CTでは胆管と嚢胞との交通は認めなかった.Hepatic peribiliary cysts(HPBC)の術前診断の下,肝左葉切除を施行した.切除標本病理組織学的所見に悪性所見は認めず,HPBCと診断した.HPBCは時に肝内胆管癌との鑑別困難な疾患であるが,様々な画像検査により診断がなされるようになり,良性疾患であるため経過観察が基本である.しかし胆管炎を繰り返すHPBCに対しては,患者背景を考慮し肝切除術も一つの治療選択肢になり得ると考えられた.

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© 2017 日本胆道学会
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