2017 年 31 巻 5 号 p. 809-820
術後再建腸管を有する胆膵疾患に対する内視鏡的アプローチは従来の内視鏡では困難であり,経皮的治療や外科的治療が第一選択とされてきた.しかしながら,バルーン式内視鏡を用いることで,内視鏡的アプローチは一気に現実的となり,ここ数年の間に多数の論文も発表されている.最近の多施設共同前向き研究では,盲端到達成功率97.7%,胆管造影成功率96.4%,ERCP関連手技成功率97.9%,偶発症発生率10.6%とバルーン式内視鏡を用いるアプローチの有用性と安全性が報告されている.さらに,2016年の診療報酬改訂では,術後再建腸管(Billroth I法を除く)を有する胆膵疾患に対するバルーン式内視鏡を用いたERCPに対して加算点数が保険収載され,今後さらに需要が増していくことが予想され,術後再建腸管を有する胆膵疾患に対する内視鏡的治療は標準的な治療法として普及しつつある.