胆道
Online ISSN : 1883-6879
Print ISSN : 0914-0077
ISSN-L : 0914-0077
症例報告
胆嚢摘出術後に著明な皮膚症状,肝障害の出現を認めた好酸球性胆嚢炎の1例
中村 康宏小山 里香子田村 哲男小泉 優子今村 綱男
著者情報
ジャーナル フリー

2017 年 31 巻 5 号 p. 867-873

詳細
抄録

症例は71歳,男性.腹痛・下痢・嘔吐を主訴に受診し,血液・画像検査で無石胆嚢炎と診断され入院した.造影CTで胆嚢管に造影効果を伴う壁肥厚を認め,胆嚢管癌が疑われた.第13病日精査のERCPの際に胆嚢損傷し,同日緊急胆嚢摘出術を施行した.胆嚢壁に悪性所見はなく,上皮下―筋層下に90%以上の好酸球を主体とした炎症細胞浸潤を認め,好酸球性胆嚢炎と診断された.術後に末梢血好酸球増多を伴う肝障害,好酸球浸潤を伴った血管周囲皮膚炎を合併し,ステロイド投与で改善した.

好酸球性胆嚢炎は稀な疾患であり,全胆嚢摘出術後検体のうち好酸球性胆嚢炎は0.84%と報告されている.病因として胆汁へのアレルギー反応,胆石などの局所要因,漢方をはじめとした薬剤,寄生虫などが報告されているが,明確な病因は明らかでない.今回,肝障害・血管周囲皮膚炎を合併した好酸球性胆嚢炎の一例を経験したので報告する.

著者関連情報
© 2017 日本胆道学会
前の記事 次の記事
feedback
Top