胆道
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症例報告
外傷性胆道狭窄に対し施行されたLongmire手術後の肝内胆管結石症に対し,左肝切除を施行した1例
鈴木 崇之冨澤 聡史前田 慎太郎新村 兼康
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2020 年 34 巻 1 号 p. 96-102

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抄録

症例は50代女性.9年前に交通外傷による肝損傷にて当院搬送され,血管塞栓術にて止血・救命された.その後左肝管起始部の断裂が判明しPTBDによる治療を試みたが,内瘻化は困難であった.経過中に薬剤性腎炎を発症し維持血液透析を要するようになったためその時点での肝切除は手術侵襲が大きく不可能と判断し,B3胆管との肝内胆管空腸吻合術(Longmire手術)を施行した.しかし,術後7年で胆管炎症状が頻回に出現するようになり,今回精査にて肝内胆管結石症の診断となったため手術適応と判断,左肝切除術を施行した.術後胆汁瘻を認めたが保存的に軽快し第43病日に退院した.

Longmire手術はIVRで治療不能であった肝門部領域胆管狭窄に対し施行されることがあるが,良性狭窄の場合は本症例のように長期経過後に肝内胆管結石を生じることがあり,慎重な経過観察が必要と考えられた.

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© 2020 日本胆道学会
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