胆道
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症例報告
難治性の内視鏡的乳頭括約筋切開術後出血に吸収性組織補強材(polyglycolic acid sheet)とフィブリン糊併用法にて止血が得られた遠位胆管癌の1例
中井 喜貴糸川 芳男楠本 聖典
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2020 年 34 巻 5 号 p. 840-847

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抄録

82歳男性.体重減少,貧血進行を主訴に紹介受診.各種画像検査の結果,遠位胆管癌が疑われた.確定診断のERCにてendoscopic sphincterotomyを施行し,切開部より出血を来したため止血術を行った.翌日,貧血の進行のため,上部消化管内視鏡を行ったところ,同部位に活動性出血を認めた.再度凝固止血などを行ったが止血が得られず,fully covered metal stent留置による圧迫により止血が得られた.2日後,同部位に凝血塊が付着し,除去したところ活動性出血を来した.重症の難治性出血のため,出血点に対し吸収性組織補強材とフィブリン糊併用法を行い完全止血が得られた.同方法は内視鏡的粘膜下層剥離術後出血の予防や直腸潰瘍出血などでも報告され,比較的安全に行われており,難治性EST後出血に対する止血法としても有用であると考えられた.

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© 2020 日本胆道学会
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