2021 年 35 巻 1 号 p. 113-117
症例は60歳代の男性.膵頭部癌に伴う閉塞性黄疸に対して,10Fr両側フラップ付きプラスチックステントを留置した.減黄処置1カ月後にステント閉塞に伴う急性胆管炎の診断で入院した.ERCPを施行したところ,プラスチックステントの乳頭側に存在するフラップ部分からステント内腔への組織の侵入を疑う所見(tissue-ingrowth)を認めたため,ステントを抜去し,金属ステントを留置した.その結果,胆管炎は改善し,退院した.
プラスチックステントのrecurrent biliary obstructionの主な原因はステントへの胆泥付着であり,他にはステント逸脱や血餅等に伴う閉塞が挙げられる.我々が検索しうる限りにおいて,現在までにtissue-ingrowthによるプラスチックステント閉塞の報告は無く,稀な事象であると考えられた.