2022 年 36 巻 5 号 p. 610-617
症例は54歳男性.上部消化管内視鏡で十二指腸乳頭部腫大を指摘され,精査目的に当院を紹介受診した.十二指腸鏡観察では主乳頭肛門側に10mm大の粘膜下腫瘤があり,EUS検査では乳頭部に連続する粘膜下層に類円形で輪郭整の低エコー腫瘤を認めた.内視鏡下生検で神経内分泌系腫瘍が疑われた.無症状で血圧も正常範囲であり,安静時血清カテコールアミン3分画は正常範囲であった.造影CT検査では十二指腸の病変は判然とせず,有意なリンパ節腫大や遠隔転移を認めなかった.非機能性神経内分泌腫瘍の術前診断で,十分な説明の上で内視鏡的乳頭切除術を施行した.術後出血を認めたが,止血処置追加後は経過良好で術後5日目に退院した.病理組織学的診断は神経節細胞様細胞,神経内分泌細胞様細胞,紡錘形細胞が混在しており,免疫染色と合わせてGangliocytic paragangliomaの診断となった.