2022 年 36 巻 5 号 p. 618-625
症例は75歳男性.腹腔動脈から固有肝動脈に至る動脈浸潤を認める切除不能膵体部癌と診断し,総胆管から肝門部におよぶ腫瘍浸潤による悪性胆道狭窄を認めたため,左右肝管へ金属ステントを留置した.約1カ月後に胆道出血による出血性ショックおよび胆管炎を発症した.造影CTでは明らかな動脈瘤は指摘できず,ステント内に凝血塊を疑う所見とそれに起因する胆汁うっ滞と急性胆管炎が疑われたため緊急ERCPを施行した.胆管内から鮮血が多量にあふれ出ており,急遽結石除去用バルーンを使用して出血点の同定を行う方針とした.バルーンを総胆管下部から順に移動しながら拡張を繰り返したところ右肝管のSEMS上端近傍で拡張した時に胆管からの出血が止まり,同部位近傍からの出血と推定,右前区域枝から総胆管に金属ステントを留置し,持続的な止血を得た.内視鏡的に出血点を同定し,かつ止血処置を行うことができた興味深い症例であり報告する.