胆道
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原著
胆管胆管吻合による肝移植後例における胆管結石の内視鏡的治療成績
久木山 直貴階子 俊平牛嶋 真也浦本 有記子吉成 元宏具嶋 亮介長岡 克弥渡邊 丈久直江 秀昭菅原 寧彦日比 泰造田中 靖人
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2024 年 38 巻 1 号 p. 49-57

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抄録

内視鏡的逆行性胆管造影(ERC)は胆管結石に対する標準治療だが,胆管胆管吻合による肝移植後例では背景に吻合部狭窄(AS)を認めることも多く,結石治療に難渋する場合がある.当院で胆管胆管吻合による胆道再建を行った肝移植後胆管結石18例のERC治療成績を後方視的に検討した.対象患者の72%が背景にASを有し,ASを伴う肝内結石例は総胆管結石例と比べ,長時間ERC(60分以上)の割合が39%と有意に高く(p=0.008),結石除去までに複数回のERCを要した.また電気水圧衝撃波破砕術(EHL)併用率も50%と高率(p=0.025)であり,肝移植後例の中でもASを伴う肝内結石例で治療に難渋していた.さらにAS例では胆管結石再発率が高く(33%),ASによる胆汁うっ滞が結石形成のリスク因子である可能性が示された.肝移植後の胆管結石治療では,結石除去のみでなく狭窄部の治療も重要であることが示唆された.

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