2025 年 39 巻 2 号 p. 211-219
症例は66歳,女性.11年前に胆嚢ポリープを指摘され経過観察されていたが,増大傾向を認めた.超音波内視鏡検査では胆嚢頸部に有茎性で11mm大の乳頭状の隆起性病変を認め,病変内部には高エコーが散在していた.コレステロールポリープを疑ったが典型的所見ではないこと,大きさが10mm以上で悪性を否定できないことから腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した.胆嚢頸部に10×7×5mm大の有茎性の隆起性病変を認め,病理組織検査では狭い血管線維間質を軸にして,円柱状上皮が乳頭状に増殖していた.核は紡錘形で基底側に配列されており低異型度の胆嚢内乳頭状腫瘍(intracholecystic papillary neoplasm:ICPN)と診断した.ICPNは前癌病変であり,多くの症例で浸潤癌を併存するため自験例のような癌併存のないICPNは極めて稀で,良悪性の鑑別診断が困難である.貴重な1切除例を経験したので文献的考察を加えて報告する.