2025 年 39 巻 2 号 p. 237-242
症例は75歳女性.胆嚢腺腫に対して腹腔鏡下拡大胆嚢摘出術後に門脈血栓症を合併し,抗凝固剤内服にて経過観察されていた.術後約2カ月,血性嘔吐を主訴に救急搬送された.造影CTでは活動性出血を示唆する所見は認めなかったが,肝門部胆管周囲の海綿状血管増生と総胆管周囲に発達した側副血行路を認めた.上部消化管内視鏡検査では,乳頭部から少量の血液の流出が確認され,胆道出血を疑い,ERCPを施行した.胆管内に造影カテーテルを挿管したところ多量の鮮血が排出された.胆管造影では,胆管周囲の側副血行路が描出され,胆管静脈瘤出血と診断した.出血点の同定は困難であったが,圧迫止血目的にfully-covered self-expandable metal stentを留置し止血を得ることができた.胆管静脈瘤出血は稀な病態であるが,門脈圧亢進症を背景とする場合には,その存在を念頭において治療に臨む必要があると思われた.