2025 年 39 巻 4 号 p. 599-603
当院では胆管挿管が困難な症例に対するprecutの際に,内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)で使用するFlushKnife N-Sを用いている.胆道処置目的でERCPを施行した未処置乳頭症例856例のうち,FlushKnife N-Sを用いてプレカットを施行した35例を対象として治療成績,偶発症について検討した.再検を含めprecut後の最終的な胆管挿管成功率は97.1%であった.偶発症は2例に見られ,ERCP後膵炎1例(2.9%),出血1例(2.9%)であった.FlushKnife N-Sは先端の通電部分が短く,穿孔の危険性が低いと考えられた.またシース先端からの送水機能により,切開後の胆管開口部の視認に有用な可能性がある.胆管挿管成功率の向上や穿孔リスクを低減させる可能性があり,FlushKnife N-Sを用いたprecutは有用な手技と考えられた.