2025 年 39 巻 4 号 p. 604-611
当院では2020年から20mm以上の側方進展を有する乳頭部腫瘍に対し水圧法を用いた内視鏡的粘膜下層剥離術(WP-ESD)を行っているが,癌症例に対する有効性は明らかでない.本研究はT1a(M)までの乳頭部癌76例を対象に,内視鏡的乳頭切除術(EP)群70例とWP-ESD群6例の治療成績を検討した.R0切除率はEP群44%,WP-ESD群83%,垂直断端陰性はEP群で54%,WP-ESD群で100%で得られた.偶発症は両群で同程度(約16%)であり,全て保存的に軽快した.症例全体の腫瘍陰転化率は89.6%,内視鏡腫瘍制御率は80%,追加手術施行率は11%,疾患特異的生存率は100%であった.早期乳頭部癌に対する内視鏡治療の成績は良好で,WP-ESDは偶発症を増加させず高いR0切除率が得られた.高難易度で時間もかかるが,側方進展例に有用と考えられ,更なる症例集積と長期予後の検証が期待される.