胆道
Online ISSN : 1883-6879
Print ISSN : 0914-0077
ISSN-L : 0914-0077
総胆管結石に対する腹腔鏡下経胆嚢管的胆道鏡下結石除去術
遠藤 正章袴田 健一鳴海 俊治馬場 俊明羽田 隆吉鈴木 英登士佐々木 睦男今 充
著者情報
ジャーナル フリー

1996 年 10 巻 4 号 p. 296-304

詳細
抄録

総胆管結石に対する,腹腔鏡下経胆嚢管的胆道鏡下結石除去術について報告した.本手術を実施した症例は17例である.総胆管結石の除去は,1)砕石装置による破砕,2)把持・摘出,3)十二指腸への押し出し,によって実施した.最初の2例(ビリルビン・カルシウム石,黒色石)では,結石破砕を行った.いずれにおいても,結石は容易に破壊でき,結石片は十二指腸に流出させた.14例(結石数1~11個,結石径3~10mm)では,胆嚢管に拡張操作を加え,経胆嚢管的に結石を摘出した.残る1例(結石数1個,結石径3mm)では,十二指腸への押し出しによって除去し得た.重大な術中合併症はなく,また術後経過も良好であったが,砕石術施行2例中1例では微細破砕結石片の術後遺残が確認された.術後入院期間は,2~16日(平均5.4日)であった.本手術は,腹腔鏡下胆嚢摘出術と同程度に低侵襲で,かつ入院期間も短く,総胆管結石症に対する治療法として極めて有効と思われた.

著者関連情報
© 日本胆道学会
前の記事 次の記事
feedback
Top