胆道
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10 巻, 4 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 大井 至
    1996 年 10 巻 4 号 p. 269-273
    発行日: 1996/10/25
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
  • - 閉塞性黄疸時のリンパ球幼弱化能とインターロイキン2 産生から-
    佐古 辰夫, 小野山 裕彦, 山本 正博, 斎藤 洋一
    1996 年 10 巻 4 号 p. 274-280
    発行日: 1996/10/25
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    閉塞性黄疸患者における術後合併症の原因の一つとして,免疫能低下が問題となっている.今回その要因について検討した,ラット閉塞性黄疸モデルでは,Con A刺激に対するリンパ球幼弱化能は黄疸2週間で著明な低下を示したが,減黄処置にて速やかに回復した.このリンパ球幼弱化能低下の原因として,閉塞性黄疸時に血中で増加し減黄にて正常化する胆汁酸とビリルビンに着目した.ラットのリンパ球で,各種胆汁酸または精製ビリルビンを添加した培養液中でのCon Aに対する幼弱化能をみると, いずれも抑制がみられた.さらにマウスのリンパ球におけるCon Aでのインターロイキン2(IL-2)産生を検討したところ,ケノデオキシコール酸の添加で抑制が認められた.閉塞性黄疸時における細胞性免疫能の低下には,胆汁酸およびビリルビンがともに関与すると考えられた.特に胆汁酸による細胞性免疫能低下は,IL-2産生抑制を介すると考えられた.
  • -劇症肝炎における免疫組織学的および電顕的検討-
    国村 利明, 宮坂 信雄, 大池 信之, 諸星 利男, 細田 周二, 浅沼 勝美
    1996 年 10 巻 4 号 p. 281-288
    発行日: 1996/10/25
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    劇症肝炎における増生細胆管周囲の線維化の実態を明らかにする目的で,劇症肝炎剖検例を用いて,発症からの経過を追って病理形態学的立場から検討を行った.
    光顕的に,発症から9日頃から細胆管の増生がみられ,細胆管基底膜周囲には紡錐形細胞が周皮様を呈して出現しているのが認められた.経過とともに,細胆管周囲間質の線維化は進行したが,周皮様紡錐形細胞は持続して認められた.この紡錐形細胞は,免疫組織学的にα平滑筋アクチンに陽性で,電顕的には胞体内に脂肪滴を有していることより,伊東細胞であることが確認された.さらにPAM染色を施した電顕材料の検索にて,細胆管基底膜周囲に膠原線維が認められ,経過とともに全周性に発現していることから,劇症肝炎においても細胆管周囲の線維化には,伊東細胞が大きく関与していることが明らかにされた.
  • 瀧本 篤
    1996 年 10 巻 4 号 p. 289-295
    発行日: 1996/10/25
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    肝門部~中部胆管癌切除例の肝側進展様式と腫瘍細胞の生物学的悪性度を粘膜部(m)と漿膜下部(ss)別に,組織型,細胞間接着因子発現率,核面積,Ki-67発現率およびp53異常蓄積率から検討した.肉眼型別のmとssでの組織型と平均肝側進展距離(平均±SD(mm))は,乳頭浸潤型(P型,4例)は,pap,tub1でそれぞれ25.7±6.8,15.7±12,結節浸潤型(N型,7例)はtub1,tub1~2でそれぞれ7.9±5.3,10.4±12,び漫浸潤型(D型,2例)は,tub2,tub2でそれぞれ7.5±3.5,20±0で,P型ではmで,N型やD型ではssで長く進展した.接着因子発現率は,mに多いpapやtub1で高く,ssに多いt u b 2 で低かった.Ki-67発現率やp53異常蓄積率と正の相関を示した核面積は,どの肉眼型でもssのほうがmより大きく,P型では狭窄部のmが先進部のmに比べ大きかった.以上より胆管癌の進展様式には,P型に多いmを置換する低悪性度の様式と,N型およびD型に多いssを浸潤する高悪性度の様式の2種類があると思われた.
  • 遠藤 正章, 袴田 健一, 鳴海 俊治, 馬場 俊明, 羽田 隆吉, 鈴木 英登士, 佐々木 睦男, 今 充
    1996 年 10 巻 4 号 p. 296-304
    発行日: 1996/10/25
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    総胆管結石に対する,腹腔鏡下経胆嚢管的胆道鏡下結石除去術について報告した.本手術を実施した症例は17例である.総胆管結石の除去は,1)砕石装置による破砕,2)把持・摘出,3)十二指腸への押し出し,によって実施した.最初の2例(ビリルビン・カルシウム石,黒色石)では,結石破砕を行った.いずれにおいても,結石は容易に破壊でき,結石片は十二指腸に流出させた.14例(結石数1~11個,結石径3~10mm)では,胆嚢管に拡張操作を加え,経胆嚢管的に結石を摘出した.残る1例(結石数1個,結石径3mm)では,十二指腸への押し出しによって除去し得た.重大な術中合併症はなく,また術後経過も良好であったが,砕石術施行2例中1例では微細破砕結石片の術後遺残が確認された.術後入院期間は,2~16日(平均5.4日)であった.本手術は,腹腔鏡下胆嚢摘出術と同程度に低侵襲で,かつ入院期間も短く,総胆管結石症に対する治療法として極めて有効と思われた.
  • 鈴木 州美, 別府 倫兄, 二川 俊二, 有山 襄
    1996 年 10 巻 4 号 p. 305-311
    発行日: 1996/10/25
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    20mm以下胆嚢小隆起性病変切除112病変について,肉眼的形態,病理組織,各種画像診断能,外科治療方針などについて検討した.内訳は,胆嚢癌8例(7.1%),コレステロールポリープ87例(77.7%),腺腫9例(8.0%),過形成性ポリープ5例(4.4%),炎症性ポリープ3例(2.7%)であった.大きさ5mm以下で胆嚢癌は1例(1.8%),6~10mmで2例(5.4%),11~15mmで2例(14.3%),16~20mmで3例(75%)に認められた.10mm以下の癌は3例で,全て有茎型のm癌であった.11mm以上の癌は5例で,1例が有茎型(m癌),4例は広基型(亜有茎性,平坦隆起型も含む)で,pm癌1例,ss癌3例であった.CTでの造影効果と血管造影での濃染像を示すものは,癌もしくは腺腫であった.20mm以下で有茎型のものは,癌であってもm癌であり,腹腔鏡下胆嚢摘出術の適応としてよい.大きさ11mm以上,有茎型以外のもので,CTの造影効果,血管造影の濃染像を認めれば,ss癌の可能性も考慮し開腹術の適応とすべきである.
  • 大屋 敏秀, 白川 寛夫, 相方 浩, 末永 敏彰, 舛田 一成, 岡本 一馬, 丸橋 暉
    1996 年 10 巻 4 号 p. 312-316
    発行日: 1996/10/25
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    胆嚢管末端に嵌頓した結石による胆石発作と,閉塞性肝機能障害を呈したMirizzi症候群に対して,体外式衝撃波結石破砕装置を用いて非侵襲的に結石を破砕し,閉塞機序を解除しえた症例を報告した.症例は33歳女性で,主訴は右季肋部痛,右背部痛および嘔吐.腹部超音波検査およびERCにて胆嚢管に嵌頓した結石(土屋分類Ib)と肝側の総胆管の拡張を認め,同時に胆管系酵素を中心とした肝機能異常も認め,Mirizzi症候群と診断した.同症候群に対して,体外式衝撃波結石破砕療法を単独で行い,合併症なく非侵襲的に結石を破砕し,肝機能も正常化した.
  • -膵頭切除施行自験18例を含めた考察-
    小澤 文明, 今泉 俊秀, 吉川 達也, 新井田 達雄, 吾妻 司, 原田 信比古, 羽鳥 隆, 高崎 健
    1996 年 10 巻 4 号 p. 317-323
    発行日: 1996/10/25
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    癌の併存以外の膵側の問題が原因で膵頭切除の施行を余儀なくされた,膵・胆管合流異常の1例を経験したので報告する.
    症例は,24歳の女性で,膵・胆管合流異常,先天性胆道拡張症(戸谷I型)および総胆管結石と診断され,肝外胆道切除,肝管空腸Roux-Y吻合術を施行されたが,術後に急性膵炎を繰り返すため,7カ月後に当院に入院した.USおよびEUSで膵頭部に長さ約2cmの膵側遺残嚢腫と径8mmの嚢腫内結石を認めた.ERCPで,膵管のループ状奇形と胆管が膵管に合流するタイプの合流異常を認めた.全胃幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行し,以後,急性膵炎の再発は認めていない.
    膵頭切除を必要とした膵・胆管合流異常の自験例18例を検討し,術式選択の理由を1)切石困難な膵石,2)複雑な膵管奇形,3)追及切除困難な拡張膵内胆管またはその遺残,の3項目に分類することができた.
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