肝門部~中部胆管癌切除例の肝側進展様式と腫瘍細胞の生物学的悪性度を粘膜部(m)と漿膜下部(ss)別に,組織型,細胞間接着因子発現率,核面積,Ki-67発現率およびp53異常蓄積率から検討した.肉眼型別のmとssでの組織型と平均肝側進展距離(平均±SD(mm))は,乳頭浸潤型(P型,4例)は,pap,tub1でそれぞれ25.7±6.8,15.7±12,結節浸潤型(N型,7例)はtub1,tub1~2でそれぞれ7.9±5.3,10.4±12,び漫浸潤型(D型,2例)は,tub2,tub2でそれぞれ7.5±3.5,20±0で,P型ではmで,N型やD型ではssで長く進展した.接着因子発現率は,mに多いpapやtub1で高く,ssに多いt u b 2 で低かった.Ki-67発現率やp53異常蓄積率と正の相関を示した核面積は,どの肉眼型でもssのほうがmより大きく,P型では狭窄部のmが先進部のmに比べ大きかった.以上より胆管癌の進展様式には,P型に多いmを置換する低悪性度の様式と,N型およびD型に多いssを浸潤する高悪性度の様式の2種類があると思われた.
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