胆道
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分流手術後の膵側遺残嚢腫内結石に対しPpPDを施行した膵・胆管合流異常,先天性胆道拡張症(戸谷I型)の1例
-膵頭切除施行自験18例を含めた考察-
小澤 文明今泉 俊秀吉川 達也新井田 達雄吾妻 司原田 信比古羽鳥 隆高崎 健
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1996 年 10 巻 4 号 p. 317-323

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抄録

癌の併存以外の膵側の問題が原因で膵頭切除の施行を余儀なくされた,膵・胆管合流異常の1例を経験したので報告する.
症例は,24歳の女性で,膵・胆管合流異常,先天性胆道拡張症(戸谷I型)および総胆管結石と診断され,肝外胆道切除,肝管空腸Roux-Y吻合術を施行されたが,術後に急性膵炎を繰り返すため,7カ月後に当院に入院した.USおよびEUSで膵頭部に長さ約2cmの膵側遺残嚢腫と径8mmの嚢腫内結石を認めた.ERCPで,膵管のループ状奇形と胆管が膵管に合流するタイプの合流異常を認めた.全胃幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行し,以後,急性膵炎の再発は認めていない.
膵頭切除を必要とした膵・胆管合流異常の自験例18例を検討し,術式選択の理由を1)切石困難な膵石,2)複雑な膵管奇形,3)追及切除困難な拡張膵内胆管またはその遺残,の3項目に分類することができた.

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