胆道
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肝門部胆管癌の手術成績と長期生存例の検討
数井 啓蔵佐治 裕倉内 宣明上井 直樹山賀 昭二広瀬 邦弘高田 譲二中山 雅人津田 一郎有里 仁志木村 純
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1996 年 10 巻 5 号 p. 353-359

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抄録

過去16年間,教室で切除した肝門部胆管癌30例の手術成績と,長期生存のための因子について検討した.在院死7例,他病死1例,癌死13例,生存中9例で,累積生存率では,3生率は38.8%,5生率は31.4%であった,5年以上の生存は8例で,全例が尾状葉を含む亜区域以上の肝切除例で,n≦Rの郭清例,相対非治癒以上の占める割合が高かった.また,3例は単独の断端因子陽性の絶対非治癒であったが,術後放射線治療,化学療法により局所再発の抑制が可能であった.長期生存を得るためには,相対非治癒以上の根治度を得ることが重要であるが,絶対非治癒例のなかにも,術後の集学的治療により長期生存が得られるものがあるので,n≦Rの郭清を行うこと,切除断端陽性は一因子にとどめること,が重要と考えられた。

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© 日本胆道学会
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