1997 年 11 巻 2 号 p. 141-150
色素胆石74例を,日本消化器病学会胆石症検討委員会による分類法に基づき分類した結果,ビリルビンカルシウム石群(以下ビ石群)29例,黒色石群30例は分類が容易であったが,15例は判定が困難で「境界群」とした.ビリルビンカルシウム,黒色色素,パルミチン酸カルシウム,コレステロールの赤外分析では,ビリルビンカルシウム含有量は,ビ石群,境界群,黒色石群の順に,黒色色素含有量は,黒色石群,境界群,ビ石群の順に,パルミチン酸カルシウム含有量は,ビ石群,境界群,黒色石群の順に多かった(p<0.001).また,ビリルビンカルシウム,黒色色素,パルミチン酸カルシウムの各成分含有量の相互関係では,境界型の色素胆石は赤外分析による成分分析で,ビ石と黒色石の中間的な位置付けであった.したがって,色素胆石を画一的に2種類に分類することは,臨床的に困難であることが判明した.