胆道
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ERCにて自然経過を観察しえた肝門部胆管癌の1例
川上 格村上 晶彦佐藤 賢一三浦 達也池端 敦加賀 誠司小野 満石川 洋子狩野 敦冨地 信和
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1997 年 11 巻 4 号 p. 361-366

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抄録

症例は47歳男性, 主訴は黄疸. 現病歴では20カ月前より総胆管の狭窄が認められていたが,胆摘後による影響として経過観察されていた.しかし,通院がままならず放置された形となっていた.その後,嘔気,食欲不振,黄疸出現し,入院となった.20カ月前の胆道造影では上部胆管より肝門部胆管までなめらかな狭窄があり,入院時の胆道造影では下部胆管から肝内胆管まで狭窄が及んでいた.確定診断のため内視鏡的乳頭筋切開術,経口胆道ファイバーを施行.経口胆道ファイバーにて下部胆管に乳頭状腫瘍が見られ,同時に施行した生検にて乳頭状腺癌が証明された.retrospectiveに見ると,20カ月前の胆道造影像での胆管狭窄所見は肝門部胆管癌による可能性があると思われた.また,腫瘍は高分化な乳頭状腺癌であり,胆管壁の水平方向への発育進展を呈したため,約2年にわたる比較的緩徐な経過をとったと推測された.ERCにて肝門部胆管癌の自然経過を観察しえた,貴重な症例と思われ報告した.

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© 日本胆道学会
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