1997 年 11 巻 4 号 p. 355-360
閉塞性黄疸症例の減黄術前後の重金属のうち,血清亜鉛(Zn)と血清銅(Cu),および肝線維化マーカーである血清IV型コラーゲン・7Sを経時的に測定し,閉塞性黄疸肝の肝線維化と血清重金属動態の関連について検討したので報告する.b値とIV型コラーゲン・7Sに相関を認めたこと,IV型コラーゲン・7S測定で減黄不良群は減黄良好群に比し有意に高値であったことから, 閉塞性黄疸肝は肝線維化亢進状態であると考えられた. I V 型コラーゲン・7SとZn/Cu,b値とZn/Cuに相関を認めたこと,Zn/Cuは良好群が不良群に比し有意に高値であったことから,閉塞性黄疸肝の肝線維化と,Cu,Zn代謝は関連があることが示唆された.