胆道
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11年間,経皮経肝胆管ドレナージにより経過をみた断端神経腫の1例
自験例と本邦集計54例の検討
諏訪 敏一木村 文夫兼子 耕
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1998 年 12 巻 2 号 p. 183-189

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抄録
症例は55歳,女性.34歳のとき他院で胆摘術をうけ,43歳(1985年),全身掻痒感と褐色尿が出現し閉塞性黄疸の診断で経皮経肝胆管ドレナージ( P T C D ) を施行された.胆道造影で肝門部の胆管は広範囲に狭窄し,左肝内胆管も全体に硬化,狭窄していた.左右肝管合流部から総肝管にかけて同様の所見がみられたが,総胆管は正常であった.胆管造影像所見から原発性硬化性胆管炎を疑った.外来通院でカテーテル管理を行い,約10年間,肝機能の増悪なく経過した.1997年4月頃より発熱,黄疸が出現し,6月に化膿性胆管炎,肝膿瘍で死亡した.剖検で左右肝管合流部を中心に胆管壁の肥厚と胆管内腔への不整形の突出がみられ,病理組織学的に断端神経腫であった.検索しえた本邦報告54例中にこのような広範囲に多発した症例はみられず,本症例は病変の確定診断,進展様式,また手術不能時の胆道ドレナージ方法の適応と限界の上からも興味ある症例と考えられた.
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© 日本胆道学会
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