胆道
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壁内と表層拡大の両進展様式を示した広範囲胆管癌の1例
上田 順彦小西 一朗広野 禎介
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1999 年 13 巻 2 号 p. 118-123

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抄録

壁内進展と表層拡大進展の両進展様式を示した,広範囲胆管癌の1例を報告した.症例は62歳男性.肝機能障害の精査を目的に入院した.直接胆道造影では中部胆管に約2cmの狭窄像を認め,その肝側胆管壁には不整像は認めなかったが,乳頭側胆管は下部胆管の中程まで壁の不整像を認めた.中部胆管を主占居部位とする胆管癌と診断し,D3リンパ節郭清を伴う膵頭十二指腸切除術を施行した.肝側胆管切離端(肝門部胆管;Bp)の術中迅速病理診断では乳頭腺癌の進展を認めたが,進展度を考慮し,これ以上の追加切除は断念した.腫瘍の肉眼形態は平坦浸潤型で,組織学的には中部胆管では高分化管状腺癌が漿膜下層まで浸潤していた.乳頭側への水平進展は,下部胆管の中程まではわずかな漿膜下層の浸潤を伴いながら線維筋層全体に浸潤しており,そこから乳頭直前濠では表層進展していた.術後,放射線治療を行い,背部痛は消失し,1年10カ月生存可能であった.

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© 日本胆道学会
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