症例は,63歳の女性,腹部超音波検査で胆嚢結石症を指摘され,手術希望にて来院した.血清CA19-9が713U/m
lであり,悪性を疑い,腹部超音波検査CT検査を行ったが,慢性胆嚢炎を有する胆嚢結石症と診断し,腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した.胆嚢内には混合石を12個認めた.組織学的には慢性胆嚢炎の所見で,悪性所見は認めなかった.胆汁中のCAl9-9は1.98×10
6U/m
lで,胆嚢粘膜の免疫組織染色では,上皮細胞が強陽性に染色された.術後血清CA19-9は,15.8U/m
lと正常化した.CA19-9は,膵胆道系の腫瘍マーカーとして診断に有用で広く利用されているが,胆嚢結石症などの良性疾患でも高値を示す症例があり,良悪性の鑑劉診断には各種画像診断を含めた総合的な診断が必要である.
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