1999 年 13 巻 4 号 p. 301-307
腹腔鏡下胆嚢摘出術時のルーチン術中経胆嚢管的X線透視下胆道造影(IOC)1,179例を検討した.IOCの成功率は98.3%で,胆管結石の診断率は98.5%と高かった.術前ERCとIOCの結石診断一致率は93.4%で,ERCの診断は必ずしも正確ではなかった.IOCで術前疑われなかった胆管結石が2.1%,胆嚢管結石が1.4%に発見された.副肝管が2.4%,副肝管から胆嚢管の分岐が0.8%に認められた.胆管損傷4例中3例は総胆管を胆嚢管と誤認した症例で,IOCで発見され離断損傷を免れ術中に対処できた.以上から,ルーチンIOCは遺残胆道結石の予防や胆管損傷の防止と早期発見に有用であった.腹腔鏡下胆嚢摘出術では,IOCをルーチン化すべきと考えられた.