胆道
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進行胆道癌に対する放射線療法の効果と問題点
上田 順彦小西 一朗泉 良平
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1999 年 13 巻 4 号 p. 308-314

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抄録

進行胆道癌に対する放射線療法の効果と問題点を明らかにすることを目的に,放射線療法を施行した胆道癌19例(胆管癌7例,胆嚢癌12例)を,組織学的非治癒切除+放射線療法(I群;3例)と肉眼的非治癒切除または非切除+放射線療法(II群;16例)に分類し,検討した.I群のうち胆管癌では8年9カ月生存中を1例,1年8カ月生存可能を1例,胆嚢癌では2年2カ月生存中を1例認めた,II群のうち,胆管癌では1年8カ月と1年2カ月生存可能例を,胆嚢癌では1年5カ月と1年2カ月生存可能例を認めたが,他の生存期間は1年以内であった.ただし,胆管の再開通は胆管癌では外部照射の4例中2例,胆嚢癌では外部照射±術中照射の8例中7例に認めた.また,胆管ステント留置の6例中5例は,死亡時まで胆管の再閉塞はなかった.以上より,放射線療法はI群では予後の向上に寄与する可能性が示唆され,II群では胆管の再開通と胆管ステントの開存性に寄与する可能性が示唆された.

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© 日本胆道学会
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