抄録
104例に胆管造影CTを施行し,segment IXのb-c,d枝の流入形式を検討した.segmentIXの胆管枝の平均本数は1.74本であった.b-c,d枝の両方認めたものは57例(54.8%)で,b-c枝がspかcpと共通管を形成するものは38例(36.5%)であった.d枝が他のdorsal liver の胆管枝と共通管を形成したものはなく, d 枝はすべてが肝後区域胆管枝第2枝より末梢へ流入していた.b-c枝が横隔膜面まで達していたものは29例(30.8%)しかなかった.b-c枝の本数が1本の時より2本以上の時が横隔膜面まで達する頻度が有意に高かった.以上により,segment IXのd枝を含む右肝静脈背側の領域は肝後上区域(S7)と考えられ,肝門部胆管癌において切除する必要は無い.また,肝尾状葉の右縁はc枝までとするのが妥当であると考えられた.