抄録
当科で経験した初回手術から5年以後の遠隔期に再発した胆道癌の再切除例4例を,臨床病理学的に検討した.内訳は胆嚢癌が3例,胆管癌が1例であった.初回手術は胆嚢癌に対して拡大胆摘2 例, 胆摘のみ1 例で, 胆管癌には上中部胆管切除, 左右肝管空腸吻含が施行された.初回手術から再発までの期間は5年1カ月から6年7カ月で,再発時の症状は胆嚢癌の3例が黄疸で,胆管癌は胆管炎による発熱であった.再手術術式は胆嚢癌の3例に膵頭十二指腸切除を行ない,うち2例に門脈合併切除,1例に下大静脈合併切除を併施した.胆管癌は肝拡大右葉切除,左肝管空腸吻合を施行した.再発形式は胆嚢癌が,それぞれリンパ節転移,胆嚢管断端の遺残,神経浸潤と考えられ,胆管癌では肝側胆管断端の遺残であった.転帰は1例に肝転移を認めているも,再手術後1年4カ月から6年8カ月の経過で全例が生存中であり,再切除の意義は大きいと考えられた.