胆道
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胆嚢管由来inflammatory pseudotumorの1例
鈴木 修司原田 信比古鈴木 衛羽生 富士夫
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2004 年 18 巻 5 号 p. 645-649

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抄録
胆嚢の隆起性病変においてinflammatory pseudotumorは非常に珍しい.発熱,右季肋部痛を主訴に来院し,上記診断の症例を経験したので報告する.症例は88歳,男性.発熱,右季肋部痛を主訴に当院紹介受診となった。既往歴として,慢性腎不全,腎性貧血.超音波検査では胆嚢は腫大し, 内部debris充満し, 頸部の胆嚢壁は肥厚して総肝管, 肝内胆管の拡張を認めたため, 入院となった. 入院時採血では黄疸はないが, 腎障害, 貧血を認めた。CT検査は胆嚢緊満,壁肥厚を認め,底部の壁内にabscess様の所見を認めた.MRCP検査で総胆管狭窄と総肝管,肝内胆管の拡張,胆嚢頸部の壁肥厚を認め,手術施行した.開腹すると胆嚢頸部に弾性軟の腫瘤を触知し,総胆管と一塊となっていたため,胆嚢摘出,胆道再建を行った.病理では壁の繊維性肥厚高度で,小血管増生した肉芽組織形成, 炎症細胞浸潤を認め悪性所見は認めなかった. 術後腎不全の進行を認め, 術後2 カ月死亡した.
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© 日本胆道学会
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