抄録
逆行性膵胆管造影法(以下ERCPと略)時,ファーター乳頭のOrificeより感染胆汁の流出を認めた90症例を急性胆管炎と診断し,ただちに内視鏡的乳頭括約筋切開術(以下ESTと略)による緊急胆道ドレナージを施行した.年齢は,60~80歳代が72例(80.0%)を占め,平均年齢は68.1歳で高齢者の罹患率が高かった.原疾患は,68例(75.6%)が総胆管結石であった.臨床症状と胆汁の性状の比較では,症状が軽いほど膿性胆汁を認める率は減少した.
死亡は3例(3.3%)であった.いずれも80歳以上の症例であり,また術前に播種性血管凝固症候群(以下DICと略)を合併していた.従来の外科療法・経皮経肝胆管ドレナージ( 以下PTCD またはPTBD と略) などによる治療成績と比較すると死亡率は低率であり, 急性胆管炎に対するファーストチョイスはERCP による早期診断とEST による減圧処理と考えられた.