抄録
症例は68歳の女性.肝門部胆管癌に対して,肝左葉切除,上中部胆管切除が施行されたが,その際,肝門部に露出した肝右葉の前,ならびに後区域枝に,逆行性経肝胆管ドレナージ(RTBD)チューブが挿入された.術後4週目に,前区域枝のチューブを抜去したところ,瘻孔より大量の出血をみた.このため,チューブを再挿入し止血を計った.血管撮影にて,前区域枝に動脈-門脈シャントを認め,結局これに胆管が交通した,いわゆるthree-way communicationの状態となっていた.止血を目的として肝動脈塞栓術,ならびにRTBDチューブ塞栓術が施行された.しかし,塞栓時に,かなりのゼラチンスポンジが門脈系へ流出した.塞栓術後3週には,肝右葉に肝膿瘍が生じたが,膿瘍ドレナージ術にて軽快した.