抄録
症例は73歳,男性.近医で血清CA19-9の高値と肝腫瘤性病変を指摘され,当科紹介となった.各種画像検査において肝腫瘤性病変と上中部胆管狭窄を認めた.両者の連続性は明らかでなかったため,肝内胆管癌と上中部胆管癌の重複癌を疑い,肝左葉尾状葉切除および肝外胆管合併切除術, 門脈楔状切除, 右肝動脈切除, 再建術を施行した. 病理組織学的には, 胆管浸潤型の肝内胆管癌が連続性に肝外胆管へ線維筋層を中心に粘膜下壁内進展し,上中部胆管で壁肥厚が増して胆管狭窄をきたしていた.画像上は主病巣と上中部胆管狭窄との間に,正常胆管が存在しているようにみえたため,両者が連続病変であるとの術前診断に至らなかった.肝内胆管癌が連続性に肝外胆管へ広範囲に粘膜下壁内進展することは稀と考え報告する.